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不整脈の治療

健康診断で不整脈(心電図異常)と言われたら

不整脈とは、本来一定のリズムで打つ脈のリズムが崩れることです。
心臓は4つの部屋があり、それぞれが拡張と収縮を繰り返すことで、全身に血液を送ります。心臓には電気回路があり、電気回路から興奮が規則的に伝わるようになっています。

電気の興奮を起こすのは洞結節と言われ、この洞結節から、心房を通って、房室結節を通過して、心室へと刺激が伝わっていきます。その洞結節からのリズムが早すぎたり、遅すぎたり、あるいはそこ以外から興奮が始まったりすると不整脈となり、脈が不規則になってきます。

不整脈と一言で言っても、経過観察して良い不整脈と心臓に問題がある不整脈があるので、しっかりと検査をして区別することが必要です。中には脈の不整を10分放置しておくだけでも死に至るものがあり、そのような不整脈に対してはAEDによる緊急対応が普及しています。

また先天的に不整脈が起きやすい人もいれば、心筋梗塞に続発するような後発的な不整脈もあります。健康診断などで不整脈や心電図異常と言われたり、動悸がするようであれば、一度循環器内科へお越し頂き、検査を受けられることをお勧めします。

不整脈の種類には、主に頻脈、徐脈、期外収縮、心房細動、心室頻拍などがあります。いろいろと分類の仕方はありますが、診察をする上では、不整脈を危険度でみることが重要となります。

不整脈を危険度で分けると、経過観察して良い不整脈と、お薬が必要な不整脈、死に至るような重篤な不整脈に分けられます。診察室では、起立性低血圧ではなく、意識を失うような失神があるか、突然死したような方が家族にいるかどうかが、危険な不整脈を見分ける最初の鍵となります。その他にも、脈が飛んだり、ドキドキしたりなど、そういう自覚症状が伴っていないかを見て総合的に判断します。

危険な不整脈-心房細動

治療が必要な不整脈の一つに、心房細動があります。心房細動とは、洞結節から出るはずの興奮がなく、心房のいろいろな場所からランダムに、しかも不規則に興奮する病態です。その興奮は300~500回/分と言われています。

これは、心房が痙攣するように細かく動いている状態です。実際に心室へ伝わっていく興奮の数は150回程度に抑えられますが、それでも普通の脈(60~70回)から比べるととても早いことがお分かりいただけるかと思います。まるで運動しているような状態の脈ということです。

この頻脈が続くことによって、頻脈による心臓の収縮力低下が起こるとされています。収縮力が低下すると、体がむくんだり、息切れしたりと心不全の症状が起き始めます。そのため、心拍数のコントロールが必要になってくるのです。

また、心房細動は読んで字のごとく、心房が細かく揺れている状態です。そうすると、普段は淀みなく流れている血液が心房でとどまるようようになり、血の塊(血栓)ができやすくなってしまいます。血栓ができてしまうと、その血栓は高確率で頭にとび、脳の血管をつまらせ、脳梗塞を発症することになるのです。

心房細動が原因による脳梗塞は、大きい血栓が飛ぶことが多いため、脳梗塞の範囲は広範囲に及び、麻痺が残ったり、場合によっては命の危険もあります。

特に高齢者、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞、一過性脳虚血発作を持っている方達は、高確率で血栓ができやすいとされており、積極的な抗凝固剤治療をすすめていく必要があります

不整脈の診断と治療

当院では、自覚症状の問診、心臓の聴診、頸静脈が怒張していないかどうか、むくみはどうかを見ていき、心電図検査を行います。

また、不整脈は心臓以外が原因になることもあります。貧血や甲状腺の機能異常も見つかる場合もあるので、診察に加えて、採血を行っていきます。

受診時に症状がないことも多く、日常生活の中で、どんな不整脈が起きているか見たい時は、ホルター心電図を行います。ホルター心電図は24時間検査用の機械を装着し、症状があるかどうか、症状があるときに同時に不整脈が起きているかどうか、を見ていきます。自覚症状がなくても不整脈が認められることがあるので、自覚がない不整脈の検索にも有用です。

さらに、心室性期外収縮を認めた場合には、3回以上連続しているか、をみることも大事です。3連続以上の期外収縮があるようなら、さらなる詳細の検査が必要です。

また、不整脈をみるときには、心臓のポンプの機能が良いのか悪いのか、で予後が変わってくるため、その心臓の収縮力をみるのに、心臓の超音波検査も同時に行います。

心房細動、心室頻拍、WPW症候群、発作性上室性頻拍の場合、不整脈となる興奮を起こしている箇所を焼き切るカテーテルアブレーションという治療があります。
幸い、当院は千代田区にありますので、周辺には不整脈を専門的に治療できる医療機関が多くあり、そのような特殊な治療が必要な場合は、紹介をして受診していただくこともあります。

不整脈に対するペースメーカー治療は、徐脈性不整脈に対するものと頻脈性不整脈に対するものの2種類があります。
徐脈性不整脈で代表的なのは、完全房室ブロックや3秒以上心臓が止まる洞停止です。3秒以上心臓が止まると、頭に十分な血流がいかず、失神を起こします。このような不整脈は薬物治療はなく、ペースメーカー治療の適応となります。

完全房室ブロックは、息切れの割には徐脈になっていることが多く、心電図を取れば確実に診断ができます。こちらも薬物治療はないので、ペースメーカーの適応です。

頻脈性不整脈で代表的なのは、心室頻拍です。心室頻拍を10分放っておけば、命の危険が高くなるので、頻拍を止める必要があります。植え込み型の除細動機があり、ペースメーカーが不整脈を察知した、電気ショックを行い、速やかに元の脈に戻します。

ホルター心電図などの検査によって危険な不整脈が認められた場合には、ペースメーカーも検討できるよう、大きな医療機関に紹介します。

こんなときは当院にご相談ください

動悸、息切れ、失神、脈が飛ぶ、等の症状は、不整脈が疑われます。しっかりと調べると、安心して、動悸が治ることもあります。ただし、動悸は、貧血や甲状腺が原因のこともあるので、少しでも心配であれば、受診していただくことがおすすめです。

例え不整脈があったとしても、ほとんどの場合、治療が不要なケースが多いです。どんな不整脈があって、どんな危険があるかを知ることで、安心に生活いただけると思います。健康診断で心電図異常と診断された場合、心配なことがあれば是非ご受診していただくことをおすすめします。

 
文責:國廣 崇
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