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高血圧の治療

  1. 國廣医師の治療にかける思い
  2. 高血圧とは
  3. 高血圧を放っておくと
  4. 高血圧の治療
  5. 生活習慣の改善について

國廣医師の治療にかける思い

私は循環器専門医です。循環器、というとわかりにくいかもしれませんが、心臓の専門家です。

私はこの御茶ノ水、駿河台地区を中心にお勤め・お住いの皆様に実現したい夢があります。それは・・・

心筋梗塞ゼロ、心房細動ゼロ、脳血管疾病ゼロ、大動脈瘤の発生ゼロを通じて皆さんに安心と笑顔を守ることです。

そのために、自分のこれまでの経験や知識をすべて使って、皆様に最善と思う治療を提供して参ります。

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高血圧とは

全身に血液を運ぶためには、血液に勢いがないといけません。生物にとって血圧は必然的な仕組みです。血圧は、水銀柱を何mm押し上げる力があるのか、つまり水銀柱の高さ(mmHg)で表します。
※水銀は公害の原因となっており、水銀を使用した測定はしておりません。

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管内で示す圧力、つまり血管の壁を押す力です。血圧は下げようと思って下げられる訳でも、あげようと思ってあげられる訳でもありませんが、どんな環境で、どんな状態で測定するかで血圧の値は左右されます。

高血圧とは、その力が一定以上高い状態のことをいいます。一過性にボンっと高い値を示すのは、疾患としての高血圧とはいいません。健康で若い人は、120/80mmHg(収縮期血圧/拡張期血圧)が一般的くらいで、診察時に測定する安静時血圧が、どちらか一方でも収縮期140mmHg/拡張期90mmHgを超えてきた時に、高血圧と診断されます。

高血圧による脳卒中や心筋梗塞の脳心血管死亡者数は年間約10万人とされており、脳心血管死亡者のうちの原因として最大です。そのうちの50%は血圧が120/80mmHgを超える血圧高値によるものと推定されています。ですので、120/80mmHgを超えてくると、正常高値とされていても脳卒中や心筋梗塞を起こす危険性があるということです。これは、7万人もの日本人を対象にした研究で示されています。

通常、高血圧では、場合によっては、頭痛や肩こりとしてあらわれることもありますが、自覚症状がないことが一般的です。多くの方は、血圧を測定するのは年1回の健康診断くらいだとは思います。何年か健康診断を受けて、どんどん上昇していくのを契機に受診することが多いです。

日本の高血圧者数は約4300万人と推定されていますが、自覚症状もないために、未治療の人は約2000万人と非常に多いです。自覚症状がないからこそ、120/80mmHgを超えてくることがあるならば、早期に受診していただくことが良いでしょう。

高血圧を放っておくと

高血圧を放っておくと、血管壁に圧がかかって、血管の内膜を傷つけていきます。そうすると傷ついた内膜では、動脈硬化が進みやすくなります。高血圧そのものが原因となる疾患もありますが、高血圧によって引き起こされる動脈硬化、さらに臓器への負担がかかることでの臓器障害を起こします。

動脈硬化では、脳卒中、狭心症心筋梗塞を引き起こしてきます。脳卒中や心筋梗塞で死亡する人のうち、50%の人は、高血圧に起因する死亡と言われています。

臓器障害では、心臓、腎臓などの重要な臓器に影響が出ます。高血圧が続くと、心臓の筋肉は肥大化・繊維化し、やがて心臓は硬くなります。そうすると心不全の原因となります。また、腎臓では、糸球体濾過圧の上昇が起き、本来身体に必要な蛋白も再吸収できずに尿として漏出してしまいます。つまり老廃物を濾過する、という腎の役割が果たされなくなっていきます。この状態が進行すると腎不全となり、蛋白制限が必要になってしまいます。

症状のない高血圧は、放っておくことで、重要な臓器に影響を及ぼし、日常の生活が送れなくなったり、最悪の場合は命の危険を及ぼすものなのです。

高血圧の治療

治療の目的は、数値の目標もありますが、ただ高い血圧を下げる、というより、高血圧による動脈硬化の予防と、臓器障害の進行予防です。

実際、高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)によると、まず130/80mmHg以下を目指します。ですが、120/80mmHgを超えてくると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなることが研究でも示されており、より臓器障害を防ぐために、120/80mmHg以下を目標としています。
ただし、高齢者では、下げすぎることによって、脳心血管イベントを誘発することもあり、過度の降圧には注意が必要です。診察室での血圧だけでなく、家庭血圧をみることによって血圧をコントロールしていくことが必要になります。

薬物治療の代表的なお薬は、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬(含αβ遮断薬)があります。それぞれのお薬には特徴があり、積極的適応や禁忌、慎重投与が必要な場合がありますので、高血圧の原因や合併症の病態に合わせて選択していきます。

例えば、高血圧の合併症である左室肥大がある場合には、Ca拮抗薬やARB、ACE阻害薬が推奨されます。心筋梗塞後であれば、ARB、ACE阻害薬やβ遮断薬が使用されます。心不全の場合や背景に塩分の過剰摂取が疑われる場合は、Naの尿への排出を促すための利尿薬も少量使用します。

お薬を飲んだことがない人は、降圧剤に対する反応がわかりません。降圧剤による血圧の急激な低下を避けるために少しずつ増量していきます。血圧の低下は、脳への血流の低下を招く可能性があり、特に脳血管障害の既往がある方は慎重投与となります。実際に、めまいやふらつきを起こす人もいます。

特に高齢者は、お薬の代謝機能が低下しており、想像以上に効きすぎてしまう場合があるので注意が必要です。心不全を起こしている、とか、緊急でない限り、状況を見ながら徐々に増やしていくことが望ましいです。

治療の流れ

  1.  初診 はじめて相談を受けるところです
    • 必用に応じて、採血、レントゲン、心電図、身長・体重測定 などを行います。
    • このときに合併症の検査をおこないます。
  2. 再診 1週間後
    • 検査結果の説明、および初期診断と治療方針を共有します。
  3. 再診 約2週間後
    • 薬の第1次効果判定と心臓のエコーを行います。同時に、大動脈瘤がないかどうかを確認します。
  4. 再診 約2週間後
    • 薬の微調整を行います。
  5. 再診 約2-3週間後
    • 薬の第2次効果判定を行います。
    • この時点で80%の方は血圧のコントロールが完了できます。
    • 頸動脈エコーを行います。高血圧などによる動脈硬化の現状がどうなっているのか、年一回は経過観察をして、より適切な治療の指標にします。
  6. 定期診察 基本的に月に1度の診察
    • 血圧確認、体重増減確認を通じて
    • 年に1度、心エコーを行います。
    • 減塩、肥満解消、節酒指導、運動指導についてコーチングと評価を行います。
    • 病気ではない状態、ではなく、より健康的にすごすためのプロフェッショナルなアドバイスを提供します。
    • 生涯、心筋梗塞ゼロ、心房細動ゼロ、脳血管動脈疾患ゼロ、大動脈瘤ゼロの人生を通じて、あなたも家族も健康という貴重な財産を活かしきって下さい。

生活習慣の改善について

食事の面でいうと、高血圧の原因として塩分過剰摂取があります。
塩分をとりすぎると、身体は水分を取り込み、血圧は上昇しやすくなります。食事による塩分制限が重要です。成人男性で8g/日未満、成人女性では7g/日未満を目標とします。

と言っても、塩分は日本人の食事には欠かせません。例えば、うどんやラーメンには、麺にもスープにも塩分が含まれているので、スープまで平らげると、一日の摂取量の大半を一食で摂取するようになります。なので、スープは飲まないようにする、など、できることから制限していくようになります。

肥満があれば、適度な運動、塩分制限だけでないバランスの良い食事制限での減量が必要になります。適度な運動は血管を拡張させ、インスリン抵抗性を下げるので、血圧を下げるとされています。実際に、肥満の方が、減量していくにつれて血圧がさがっていくことも珍しくありません。

1日に30分の人と会話ができる程度の有酸素運動がお勧めです。30分以上の運動をすると、直後から収縮期血圧が4~5mmHg程度低下し、22時間程度持続しますので、ウォーキング等を通勤に取り入れる、といった毎日続けられる工夫をすることも大事です。1回につき10分以上、1日30分以上を目安に行ってください。

喫煙すると、ニコチンにより交感神経が刺激されて血管を収縮させるため血圧が上昇します。1本吸うと収縮期血圧が4mmHg上昇します。30分で安静時レベルに戻りますが、2本連続では、収縮期血圧が14mmHg上昇し、30分では安静時レベルには戻りません。このことから1日40本以上吸うヘビースモーカーは、安静時レベルの戻る前にタバコを吸うため、血圧の高い状態が継続されてしまうということが示唆されます。喫煙していて高血圧ならば、保険適応の禁煙外来もありますので、受診していただくことをお勧めします。

アルコールは、摂取量が増えるほど血圧は上昇します。といっても、全く飲んではいけない、というわけではありません。週2日の休肝日は必要ですが、1回のアルコール量が5~15g(ビール中瓶500ml1本でアルコール量20g:200kcal相当)なら大丈夫でしょう。過度な飲酒が血圧に影響します。カロリーの面からも、アルコールは適量摂取が大事です。

日常的な生活の他の面でいうと、一時的に疲れが溜まっているとか、睡眠不足であるとかでも血圧は上がります。高血圧の観点からも、ストレスや疲れをリフレッシュできるような方法を考えていく必要があります。できることから無理のかかりすぎない範囲で、一緒に治療を進めていきましょう。

 
文責:國廣 崇
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