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子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)

子宮頸がんとは

子宮頸がんは、日本において年間約1万人が罹患する病気で約2,800人が死亡しており、その数は年々増加傾向にあります。しかし実は多くの日本以外の先進国では検診の普及、そしてワクチンの徹底により、子宮頸がんにかかる人、そして亡くなる人も大きく減少している病気なのです。

子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染することによって引き起こされます。HPVはごくありふれたウイルスであり、性交渉のある女性であれば生涯の内に50%~80%の方が一度は感染すると言われています。通常、感染したとしても問題の起こらない方も多いのですが、一部の方はそのまま持続的に感染状態となり、段階的にがんへと進行していくことがあります。

子宮頸がんは「マザーキラー」とも呼ばれ、中高年以降に発症することの多い他のがんと異なり、ちょうど年代的に小さな子どもを持つ母親の命を奪う病気として認識されています。

子宮頸がんは、予防できます!

子宮頸がんは、HPVワクチンを接種することで予防することができます。特にアメリカ、イギリス、オーストラリアなどの口では国のプログラムとしてワクチン接種を取り入れており、有意に子宮頸がんの発生が低下していると報告されています。

実は日本においては、2013年に小学6年生~高校1年生の女子を対象に定期接種化されました。しかし接種後に、全身の痛みやしびれ、不随意運動などの重い症状の訴えがあり、厚労省は「積極的勧奨」を中止(※)しました。副反応を巡って、国や製薬会社に損害賠償を求める訴訟が起きており、マスコミ等でも大きく報道がされました。日本産科婦人科学会によると、一時8割ほどだった接種率は、1%以下に落ち込んだとされています。

※接種しないことを推奨するのではなく、積極的に接種を推奨することを中止

その後、ワクチン接種と副反応には因果関係が否定されたものの、副反応が起こったことは事実であること、また一度生まれた不安が完全に払拭されることはなく、未だに日本においてはHPVワクチンの接種率は非常に低いことが現状です。

 

HPVワクチンについて

HPVワクチンの接種は、性行為を経験する前の10代前半が中心となります。日本においては、そもそも子宮頸がんを予防できるワクチンが存在していることさえ知られていないこともあるのですが、実は現在も定期接種として受けていただくことが可能です。定期接種は小学6年生~高校1年生の間に3回接種するスケジュールで、標準的には中学生~高校1年生での接種です。初回接種後6か月後に3回目の接種になるので、遅くとも高校1年生の9月までに開始しないと定期接種での接種から外れてしまいます。

国が「積極的勧奨」を中止しているため自治体からの問診票送付などはないのですが、対象となる女児は“受ける権利がある”ことをまずは知っていただきたいと思います。

 

HPVワクチンは接種すべきなのか?

因果関係が否定されたとはいえ、HPVワクチンを接種した後に重篤な副反応(薬は副作用、ワクチンは副反応と言います)で苦しんでいる人がいることは重大な事実です。また接種を受ける本人は10代前半が中心ということもあり、ご本人よりも親御さんが接種の可否を判断されることも多いことから、より慎重に判断をされることも当然だと思います。

しかし副反応のないワクチンというものは存在しません。皆さんが普段受けているインフルエンザワクチンにも、命に関わるような副反応が起こることもあります。最終的にはリスクとベネフィットを比較して決定していただくしかないのですが、“知らなかった”ことにより、毎年、予防できるはずの病気で若い母親が亡くなってしまっている、という現状を覆すべく、多くの方にこの事実を知って欲しいと思っています。

ワクチン接種についてご不安なことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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